Case

事例紹介
株式会社ビジョン

“走りながら考える会社”に寄り添い続けた8年間グローバルWi-Fi事業をオペレーションの面から支援

休みなく走る弊社の隣をずっと伴走してくれている
営業本部 部長
岡田壮一
これまでの取組を振り返ると本当に多岐に渡ります
株式会社鶴 代表取締役
林部健二
グローバルWi-Fi事業のヒットで急拡大した株式会社ビジョン。だが現場では、慣れないオペレーション業務に問題が多発していた。試行錯誤しながら改善を重ねてきた道のりを、事業責任者とコンサルタントが振り返る。

新たに発生した“オペレーション”という課題

――まずは、株式会社ビジョンの事業内容や特色について教えていただけますか。

岡田 弊社は1995年に創業し、主に電話やインターネットの加入取り次ぎといった情報通信サービス事業を展開してきました。2011年頃から、自社サービスとして開始したグローバルWi-Fi事業で大きく成長し、2015年に上場しました。代表である佐野(健一)のパワーが非常に強い会社だと言えますね。「やるぞ」と決めたら、その号令のもと、みんなが走り始める。そして、走りながら考える。止まってくれない会社です。

――鶴との接点はどのように生まれたのでしょう?

林部 鶴がスタートして間もない頃、ある経営者を介して佐野社長をご紹介いただいたんです。ちょうど、ビジョンさんのグローバルWi-Fi事業が急激に伸びていた時期に当たります。ビジョンさんは、もともと電話やコピー機などの販売代行をやってこられて「売る力」は非常に強い。でも、グローバルWi-Fi事業には、ルーターやSIMの貸出・返却、品質管理など、以前の事業にはなかったオペレーション業務が伴うため、いろいろとお困りのようでした。私はアマゾン出身で、物流やオペレーションに詳しいこともあり、コンサルティングのご依頼をいただくことになったわけです。

岡田 オペレーションに関しては分からないことだらけでした。現場からいろいろな問題の報告は上がってくるのですが、どうしたらいいか分からなくて、ネットで調べたり自分で考えたり……。社内で相談できる相手は私の上には誰もいませんでしたから、林部さんが来てくださったのは本当に有難かったですね。

林部 私どもは物流やオペレーションのプロですが、正直なところ、グローバルWi-Fi事業に関しては未知の部分がかなり大きかった。当時はまだ、世の中にほとんど認知されていないサービスでしたから。岡田さんと対話を重ねながら、その業務について詳細まで理解することがまず大変でした。

倉庫の整理・整頓からのスタート

岡田 当初は、お会いしては1時間半くらい話す。それを延々と繰り返していましたね。

林部 だんだんと理解が進むと同時に、ビジョンさんの状況も見えてくるようになりました。事業が急激に成長し、扱う物量もいっきに増えたことで、モバイルWi-Fiの出し間違いが起こるなどの問題が出てきていた。倉庫の中を見せてもらうと、かなり散らかっていたり……。そこで手始めに、オペレーションの基本である「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」の最初の2つからスタートしましょう、と。

岡田 林部さんには、オペレーションを考えるうえでの“基本”や“常識”を教えていただき、私自身がそうした視点から物事を考えられるようになったのは大きかったなと思いますね。大小様々なご提案をいただきつつ、弊社の事情に合わせて取捨選択しながら、現在までやってこられました。

林部 倉庫のレイアウトを考えたり、KPIをつくったり、ユーザー視点で不満がないか、実際に中国まで行ってサービスの品質をチェックしたり。コンサルティングを始めてから8年間ほどになりますが、これまでの取り組みを振り返ると本当に多岐に渡りますね。

岡田 ずっと隣にいて伴走していただいているような感じです。私の立場からすると、林部さんが佐野の紹介で入られているという点もよかった。たとえば社内で、私が何らかの提案をし、否定されてしまう。でも、同じ提案を林部さんがすると「なるほど」という反応が得られたりするんです。うまく利用させていただいています(笑)。

――事業のフェーズに応じて様々な取り組みが行われてきたとのことですが、印象的なものを挙げていただけますか?

岡田 たとえば、SIMカードの管理の仕組みを変えていただいたこと。あれは印象に残っています。

林部 当時、小さな引き出しがついたボックスでSIMカードを管理されていたんですよね。それぞれの引き出しに「韓国」「ハワイ」などと行き先が書かれていて、その中にSIMが無造作に入れられていました。でも、すごく小さなものですから、これも物流の基本である「単品管理」がきちんとできていなかった。そこで、SIMを挟み込めるような台紙を使って管理しやすくする、そうした工夫を提案させていただきました。

岡田 シンプルなことではありますが、非常に助かりましたね。

これからも、よきパートナーとして

林部 ただ、この事業の難しいところは規格がどんどん変わってしまうこと。3G、4G、5G……ついにはeSIM(端末埋め込み型のSIM)というものまで出てきた。そうなると今度は、端末の買い替えも含めた管理の必要性が出てきます。規格が変わるたびに業務の中身が大きく変わってしまうので、もちろん現場も大変ですし、アドバイスをする側としても苦労はしています。

岡田 それに加えて、社内の方針まで頻繁に変わりますからね。冒頭に申し上げたとおり、弊社は休みなく走る会社なので。やってみてダメだったら次はこうしよう、と。それを延々と繰り返している。

林部 私はその横を一緒になって走りながら、相談事を聞いたり、ときには「それは違うと思いますよ」とブレーキを踏んだりしているイメージですね。取り組みを個別に挙げるのはなかなか難しいですが、たとえば、アマゾンのサイトを活用してはどうかというご提案をさせていただいたこともありました。

――Wi-Fiのレンタルをアマゾンで、ですか?

林部 ええ。もちろん、アマゾンには「貸出」や「返却」といった機能はありません。ただ、販売チャネルとしては大きいので、何とか活用できないかと考えたんです。検討の結果、「ビジョンで使える利用券なら売れるのではないか」というアイディアが出てきて、実際にアマゾンで利用券の販売を行ったりもしました。

――なるほど! それでは最後に、今後の展望を教えてください。

岡田 私は常に何かしら問題を抱えていますし、林部さんとお会いして話せば話すほど「これをやりましょう」ということがどんどん増えていく。その結果として、コロナの影響で厳しい期間があったにもかかわらず現在もサービスがしっかりと継続できているわけで、いいアドバイスをいただけている証拠かなと思っています。

林部 ありがとうございます。私どもはいろいろな会社の事例を知っていますが、たとえ業種・業態が異なっていても、他社のケースが課題解決に生きることはよくあります。そういった視点からのコンサルティングに加えて、現実的に仕組みを提供することもできる。今後もビジョンさんの無理難題をお引き受けしながら、継続的にご支援させていただきたいですね。

岡田 弊社は、グローバルWi-Fi事業とは別に、グランピングやメディカルサポートといった分野にも力を入れているところです。物品の管理、オペレーション、システムの構築などはどうしても必要になってきますので、事業発展のよきパートナーとして、これからも伴走していただけたら幸いです。